日々の新聞社・IWAKI BIWEEKLY REVIEW・115号

2007年12月15日(土)  「NO.115」

HIBI NO SHIMBUN GALLERY 見て ある記  

  鈴 忠壽 展

2007年11月29日(木)-12月9日(日)
アートスぺース エリコーナ

 静けさに潜むパッション

「りん・ちゅうじゅ」と読む。本名は「鈴木忠寿」(すずき・ただとし)。ひとによって「りんさん」だったり「すずさん」だったり「すずきさん」だったりする。でもそれでいいと思っている。この人の素顔は、その制作ジャンル(素描画・抽象画・陶芸)同様、多面性を持っている。ギャラリーオーナーであり、作家であり、工業化学の技術者であり、バスケットボールプレーヤー。でも、それはすべて一人の人間として成り立っている。
展覧会のテーマは「リピテーション(反復)」。大きなキャンバスに、丸、四角、三角の突起物を張り付ける。基本的には同じかたちのもの。まず、これでもかと張り付けていく。その時々の心の揺らぎによって、場所や数が変化していく。爽快感、緊張感、不安感・・・。それらを突起物の数や配置で表現していく。その反復が作品をかたちづくり、照明が突起物の微妙な表情を映し出す。
子どものころから、捨て去られたものに興味があった。自然に朽ち果てていくものたち。その表面には時間や空間によってできた傷や色あせがあった。それは作為的なものではなく、歴史的なものと言えた。「それが美しい。古色にはどんなことをしてもかなわない」と言う。「時代を作品の一部に使いたい」という思いがジャンクアートにつながり現在の「生活のなかのアート。自分が楽しくないと見る側にもその面白味が伝わっていかない」という思いに到達した。
三年前から新制作展に出品し、連続入選を果たしている。今回のエリコーナでの展覧会も「自らの作品を飾るべき場所、居場所」を考えて決めた。新制作への出品も同じ理由からだと言う。さまざまな素材を使い配置を考え、独自の世界をつくりあげる。そこには工業科学技術者の側面も垣間見ることができる。落ち着きや静けさのなかに潜んでいる激しいパッション。そのマチエールや表現がどう変貌していくのか楽しみではある。


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