沖縄出発・故郷へ

 

1021日(金)


 青い海・青い空。沖縄でのたくさんの思いやメッセージで埋め尽くされたジムニーで、ハナも一緒にいわきへ戻る旅に出発した。フェリーで鹿児島に着いたとき、陸でつながっている福島、土に還った父と兄・母が暮らす「いわき」が身近に感じた。今度は10日間かけて、長崎、広島など平和学習をしながら、岡山・奈良・愛知・横浜・栃木・茨城を回りながら、知り合いの作家のところに寄って旧交を深めて帰ってきた。


 沖縄での日々は、「オキナワ」を肌で感じることができた。そして、基地問題と原発問題は共通している、と思った。米軍基地は、一番住みやすいところにある。しかも、不発弾が至る所に埋まっていて、いまだに掘り返す作業が行われている。沖縄の人たちは、その理不尽さを訴え続けている。だから「福島の人も訴え続けなければならない。口を塞いでしまってはだめだ」と思う。


いまだに日本を「大和」と呼び、ベニイモをサツマイモと言うと「これはベニイモです。サツマイモなんかじゃありません」と言下に否定する沖縄の人たち。それは、蹂躙され続けてきた歴史への反発であり、自分たちの文化に対する誇りともいえる。だからといって決して偏屈ではなく、文化が混じり合っているおおらかさや、独特の温かさがあった。


いわきに戻ってから何日か過ぎてから、実家の母は10月に沖縄に来る1ヶ月前まで、脳梗塞で、入院していた事を初めて知らされた。人一倍、心配性の母に精神的に負担をかけてしまい申し訳なかった思いと、家族が何か言葉がおかしい事に早めに気づいてくれたので後遺症が出なかった事に感謝と喜びを感じた。母の手帳には何度も何度も電車の乗り継ぎや時間、携帯番号、住所などが繰り返し書き込まれていた。沖縄へ必死で足を運んだ思いが、あの那覇空港での再開に異常なほどの喜びと安堵感に納得する事が出来た。


いわきに帰ってきて感じたのは、あんなにすごいことがあったのに、何一つ変わっていないことだった。いまの状態が異常なのに、こういうところで一生暮らすんだな、とも考えてたりもする。あのヨードチンキの臭いは特に感じなくなったが、不気味な黒い雲はいまもある。そしてときどき、咳と痰が止まらなくなることがある。
 新聞・ラジオ・テレビで天気予報と同じように空間線量が公表され、公園・幼稚園・学校・公共施設などにモニタリングポストが当たり前のように設置されている光景に違和感と、今も福島は収束の見えない原発事故・放射能の見えない恐怖にさらされている。福島へ戻る途中に寄った長崎で、原爆の絵図を描いた画家丸木さん夫婦の言葉が甦る。「戦争で原爆が、平和で原発が」人類は核と共存できない、核のない生活・心地よい空間、負の島から福の島へ「安心・安全」本当に笑える日、平穏な日を願わずにはいられない。自分が生まれ育った町を大切にし、物も動物も人も思いやる心が平和へとつながる。ひとりひとりが、自分・家族・地域や状況を納得し選択し行動する。それぞれの生き方・考え方で、結局は後悔しない・したくない生き方が大切なのかもしれない。平和の歩みはどんなに小さいことでも考え行動することから始まる。11人が価値観の違いや生活スタイルを、もう一度考える直す時期なのかもしれない。


この7ヶ月間を振り返ると、本当にギャラリーの仕事をしていて助かったし、助けられた。モノをとおして人と人がつながり拡がる、その空間がギャラリーであり「人は財産」である。文化こそが人々の支えにつながっていく。


工芸・彫刻・絵画など「ギャラリー」を通して、ひとつひとつの展覧会を大切に、その時の出会いに感謝し喜び、別れに悲しみ、素直に自然に寄り添いながら、謙虚に頑固に生きていこう。生きるチカラとは、自分が一番やりたい事や好きな事をコツコツと地道に続けることによって、心に碇のようなしっかりとした礎が生まれてくる。いままでの出会いに感謝し親交をより深めながら、いろいろな場所にいろいろな人達とのつながり拡がてっていくことを夢見て、これからの出会いを楽しみに大切にしながら、「人生 第2ステージの始まりです。」


 


勇気と希望とこれからの目標


・ゆっくりとじっくりと心に響く展覧会を開催。


・衣服、食と器、絵や彫刻がある住空間、普段の生活の中からの提案。


・袋中祭、幼名、徳寿丸が生まれ遊んだ地にて念仏踊りとエイサーの競演


・20年、30年、40年後の検証。原発に負けない福島・原発のない日本。


・タイトルも決まっています。「原発○○○○」この本を出版。

まだまだ長い道ですが、本当に笑える日まで今後とも息の長いご支援を宜しくお願い致します。                         
長文にお付き合い下さいましてありがとうございます。
                                 完。                                          


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