沖縄県 南風原文化センター開館30周年記念誌に寄稿しました 。『魅力ある「南風原」』

沖縄県 南風原文化センター開館30周年記念誌
「こんなモノからあの人まで30年のあゆみ」に寄稿

魅力ある「南風原」

ギャラリー創芸工房  鈴木忠寿

南風原文化センター 30周年おめでとうございます。
2011年3月 福島県いわき市でギャラリーをしていましたが、東日本大震災後あてもなく、車で南下し鹿児島にてフェリーに乗り、一番遠い沖縄へたどり着来ました。約7ヶ月の避難生活を送る中、先が見えない恐怖と不安があふれだし、身心ともにどん底状態になっていた当時、身近に南風原文化センターや絣会館、工芸支援センターなどがあり、絵画・染織・木工などの手工芸の展示や実演、講習会を中心に度々足を運ぶようになって行きました。

観光とは違った沖縄の自然と生活、人の温もりと逞しさ、ナンクルナイサー精神で、自然体で生きることの大切さや、学芸員、画家、工芸家、マンゴー農家、パーマ屋さんなど、様々な出合いにより支援や協力をありがたく受けることができ、少しずつ生きるチカラを頂くことが出来ました。困難は人を強くもし優しくもすることを実感しました。

遠くて近い沖縄と福島の関りはとても古く、約400年以上も前にいわきから袋中上人というお坊さんが沖縄へ渡ったこともあり、同じ土を踏み、同じ景色を見ていた遠い沖縄がとっても身近に感じられました。7ヶ月お世話になったこの町で、震災後毎年 南風原文化センターにて「東北の手仕事展」を、福島では「沖縄の工芸展」を開催しています。その土地の風土風習など手仕事を通して、もっともっと身近に人と人がつながり物を大切にすることは、人を大切にすることであり「人とモノと自然をつなぐ」その思いを共有共感できればと思います。

沖縄も福島も何年、何十年経っても忘れてはならない事があります。これからも、その土地でしか発信できない歴史や文化、工芸など世代を超えて脈々と継承し、子供の頃からの平和学習や、心の礎を持ち、ドキドキ、ジンジンと心を揺り動かす魅力ある展示やもっと自由にもっと愉しい居心地の良い空間を楽しみにしています。

私達にとって大切な場所でもあり、大切な人達が暮らす町「南風原文化センター」の益々の発展と歴史・文化の力強いタスキをつないで頂きたいと願っています。

 

 


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