「ゆいまーる」の精神

 

3月24日(木)


 まずは、住む場所の確保が一番の問題である。場所も方向も交通規制も分からない中、沖縄県庁と市役所へ足を運んだ。市営・県営住宅の依頼をお願いしたが、犬も一緒なので、入居は難しい状況であった。市役所の駐車場にて考える?考える?考える???


 何の当てもない沖縄にて、2つの方向から行動を起こした。まずは、動物病院からの情報でペット可のアパートの情報を求めようと電話帳から、何ヶ所か電話を入れてみた。ある病院では簡単に「判らない」と電話を切る、また、別な病院では「役場で聞いてみて下さい」と云う。しかし、首里近くの病院の先生は、とても丁寧で親切に対応してくれたが、アパートの金額が想像以上に高かった。


 もう一つは、ギャラリーをしているので、作家やいろいろな人達のネットワークから、沖縄出身で栃木県の作家へ電話を入れてみた。早々に首里在住の親類の方に連絡が入り、その日の夕方に、お会いすることが出来た。偶然にも不動産関係の仕事をしていたので、大変に力になって頂き、次の日には、直接的には何の関係もない私達を、自宅に招いて、奥さんの手料理をご馳走になった。また、安くて・ペット可・駐車場有りと無理な条件だったが、早々に住む場所を見つけだし、保証人にもなって頂いた。


 場所は那覇から少し離れた南風原に落ち着いた。最初の2週間は雑居ビルの5Fのアパートにいたが、飲み屋さんの声がにぎやかすぎて最終的には一戸建てに移ることが出来た。



 福島から沖縄へ、転出届などが思うようにいかなかったが、南風原町役場や社会福祉協議会などの地域の皆さんの後押しもあり、食料・衣服・食器・冷蔵庫・レンジなど生活用品の支援も受け助かった。
住む所も決まり、多少落ち着いてきたので、犬のハナも冬の東北から暑い沖縄へ、フィラリアなどの薬をと思い、先日電話でお世話になった首里の動物病院へでかけた。電話での対応と同様にとても親切で、東北にはいない病害虫が沖縄には潜んでいるので、特に草むらの散歩に注意をする事や薬やエサも、私達同様に支援を受けた。


沖縄、小さな島だからこそ支え合う共存文化が拡がり・助け合いの精神「ゆいまーる」の優しさや温かさを実感した。


 3月下旬に浦添市民体育館にて、第63回沖展に足を運んでみた。絵画・彫刻から書芸・工芸の作品が一堂に展示されていた。特に「紅型」の染と大宜味村の芭蕉布・首里花織・久米島紬など、「織物」のてまひまかけた美しさと地道な取り組み、ひたむきさが伝わってきた。

 今、住んでいる南風原にも沖縄の工芸産業がある。織物・紅型・木工・漆工の工芸指導所や絣会館、文化センターなどの専門的な技術を培う研修施設や、伝統工芸の継承を目指して20~30代の若手がコツコツと作業に向き合う場がある。常にスピードやアタラシモノを求められる時代だからこそ、伝統工芸の精神が大切なのかもしれない。


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