右往左往

 

3月14日(月)
 朝、近所の野菜屋さんが顔を出してくれた。自宅には井戸がありお風呂にも誘ってくれた。水も確保するのに大変な時にお風呂。いくらお金があっても水も買えないし風呂にも入れない、そんな時にお誘いの話に胸があつくなった。水と米さえあれば何日間は、ストーブで十分に調理もできる安堵感と久しぶりのお風呂にご満悦です。お風呂上りの陽射しがまぶしいお昼過ぎ、今度は福島原発3号機が水素爆発?テレビ・ラジオでは「屋内退避」「自主避難」など情報が錯綜する中、ここはシーラカンスのようにじっとしているのも一つの選択かも。
 度々の余震と目に見えない放射性物質の不安と恐怖、夜が更けるとなおも増幅。眠れず落ち着かず、夜
11時頃に慌しく犬のハナも一緒に車で非難。国道6号の海岸沿いを津波の心配もあったが南下、水戸付近まで行けばガソリンも入るだろうと安易な考えで出発してしまった。途中、地震と津波により道路は激しい段差、壊れはてた家並みとスクラップ状態の車、電車は途中で止まったまま放置、高萩の工場では火災が発生している中、夜中の2時頃に茨城県の水戸駅に着いた。もうガソリンも残りわずか、水戸でもガソリン不足で朝になっても、どこのスタンドが開くのかわからない。「タクシーの運転手」「コンビニの店員」に聞いても同じだった。また、そのコンビニでは商品棚がガラガラでガソリンだけでなく水・食料品も無い。これからどうする?あわただしく車に詰め込んだ荷物の整理と気持ちの整理をと思い片付けはじめたが、最も大切な住所録・パソコン・貴重品の入ったバックが見あたらない。


体中が冷や汗でびっしょり
   <ガソリン無・食料無・住所録(作家・知人の連絡先)無>


SELECT
・朝まで待って茨城県の作家へ連絡ナシで行く→作家宅でも大迷惑
・水戸駅から朝一番の電車で南下し東京へ行く


 →車は乗り捨て・ハナは捨て犬だったが、また捨て犬状態

・水戸付近でガソリン入手
        →入らない→ガソリンが入るまで何日か待つ
        →入る  →そのまま南下
             →いわきに戻る「◎決断をする。」

 何が最良なのか常に状況が変わる中、常に
SELECT・右往左往。自分の人生自分で選択・生きるための選択。夜中にいわきから水戸まで来る途中にガソリンスタンドに何台か車が並んでいた所があった。本当にOPENするのか?わからないけれども、夜中の2時過ぎにそのスタンドにかけることにした。5時間ほど経ち、朝7時ついにスタンドのスタッフが・・・喜びと安堵感でホッした。その頃には70台を超える車が並んでいた。朝の通勤ラッシュ、避難する車、バス、自転車、歩く人で大混乱。後方の信号機からは車と車・歩行者と車の怒鳴りあう声。ガソリンを求めて皆が必死のパニック状態。ガソリンは1台あたり2000円の限定だったが、なんとか入手することが出来た。ようやく、いわきに戻ることができる。


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